数学的なうつくしさがあります。その再生には、スイッチングアンプとモニタースピーカーのくみあわせが最適です。自然の調和を感じてください。
バッハ・コレギウム・ジャパン 第132回定期演奏会で J.S. バッハ作曲『マタイ受難曲』をききました(東京オペラシティコンサートホール, 2019.4.21)。同楽団のライブで同曲をきいたのは2回目でした。『マタイ受難曲』は、CD などでも多数回きいたことがありましたが、今回は、あきらかに音がちがいました。特注オルガンを使用していたためです。『マタイ受難曲』の本当の響きをはじめてきくことができました。


今回マタイ受難曲の再録音をきっかけに、数年前からオルガンビルダーのマルク・ガルニエ氏と綿密な相談をして、開管のプリンツィパルを持つ通奏低音用のオルガンを建造してもらうことにしました。ただし、私たちには聖トーマス教会のような常時オルガンを設置できる場所がない上、現代の演奏家は旅行が宿命ですので、このオルガンも、どうしても移動可能である必要があります。つまり組み立て・解体・移動が、一定のスケジュールの中で繰り返し可能であるようなオリガンでなければ、現実には使用することができません。(バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督 鈴木雅明、公演プログラムより引用)


カンタータやミサ曲・受難曲など、バッハの教会用作品ではオルガンは必須の楽器であり、オルガンが例外なく使用されます。ライプツィヒの聖トーマス教会でもニコライ教会でも、教会にそなえつけられたおおきなオルガンが通奏低音をかなでます。

しかしバッハの時代とはちがって現代の楽団は、教会以外のいろいろな場所で演奏しなければなりません。そのため移動可能なちいさなオルガン、「ポジティフ・オルガン」をつかわざるをえません。

おおきなオルガンとちいさなオルガンには、おおきさ以外に原理的なちがいもあります。

オルガンのパイプは、形状・材質・寸法・発音原理などのさまざまな要素で分類され、リコーダーとおなじ歌口をもつ通常のパイプ(「フルー・パイプ」という)には、パイプの上端があいた「開管」とパイプの上端をとじた「閉管」の2種類があります。おなじ長さのパイプであっても、先端をとじると、空気の振動する長さが2倍になるため、ひらいたパイプよりもオクターブ下の音がでます。この原理をつかって、移動可能な小型オルガンでは、閉管のパイプをもっぱらもちいることによって必要な音域のパイプ群をちいさな箱のなかにとじこめています。

また開管のパイプでは、自然界に存在する自然倍音列がすべてふくまれますが、先端をとじた閉管のパイプでは自然倍音列の偶数倍音がきえてしまいます。これは波動の原理から説明できます。オルガンの基本的な開管のパイプを「プリンツィパル」といい、これがあってこそ、すべてをつつみこむようなしっかりした和声をかなでることができるのですが、偶数倍音がきえてしまう閉管のパイプではこのプリンツィパルの音色は決してえられず、内にこもったやわらかい音になってしまいます。また閉管では、つよい音がほしいときには、たかいピッチのパイプの音をかさねざるをえず、不本意な甲高い音ばかりがきこえるということにもなりかねません。したがって移動可能な小型のポジティフ・オルガンは音楽の付随的な役割しかはたせません。

そこでバッハ・コレギウム・ジャパンは今回、開管のプリンツィパルをもつ本格的なオルガンでありながら、同時に、くみたて・解体・移動が可能な中型オルガンの建造にふみきりました。これは、まことに大胆な挑戦です。

オルガンの最低音は大文字Cの音すなわちヘ音記号の五線の下線2本目にのっているドの音であり、この音をだすためには8フィート(およそ2メートル40センチ)のパイプが必要です。閉管、それも木製のパイプでしたらおりまげても音にそれほど支障はありませんが、開管のパイプはおりまげることはできません。この開管がまっすぐたち、その他の部品もいれるとオルガンのたかさは3メートル弱になり、このようなおおきさのオルガンをくみたて・解体・運搬可能にすることは並大抵のことではありません。

オルガンがかなでるさまざまな音色は、自然倍音列の各音を強調するように、おなじ形のことなったたかさのパイプをかさねあわせることによってつくるのが基本です。たとえば実音のでる8フィートのたかさのドの音にはなやかさをくわえたい場合は、ながさが半分であるオクターブたかい4フィートのパイプの音をかさねます。さらに2オクターブたかい音や、2オクターブと5度たかいパイプなどをかさねていくこともあります。自然倍音列にふくまれる5度や3度の倍音もオルガンのストップ(音色選択機構)でつくられるので、けっきょく、整数比のながさ1:2:3:4:5:6のパイプをそなえていくことになります。このようなことからオルガンという楽器は、自然界の摂理にしたがった存在として認識されるようになりました。


最初の1、2、3、4、5、6、7、8の数字の比を持つ自然倍音は、正しく調律されたオルガンで鳴り響くとき、すべてがただひとつの音に聞こえ、それは、神がこの世を創造される前から存在した永遠の調和である。(ヴェルクマイスター『逆説的音楽論』)


これらの整数比が、オルガンのレジストレーション(音の選択)の構造と一致し、さらに2:3が完全5度、4:5は長3度、4:5:6が三和音を形成するなど、和声構造の根本をなしているので、オルガンの音は、自然界の秩序をあらわす存在として認識されたということです。

たとえば『マタイ受難曲』の第1曲・合唱のオルガン・パート譜には「セスキアルテラ」という指示があり、これは、2:3という比をあらわす名称であり、具体的には、自然倍音の第3音(1オクターブと完全5度の音)と第5音(2オクターブと長3度上の音)を同時にならすことであり、自然倍音列の最初の5つの音が同時になり、ヴェルクマイスターのいう完全なる和音、周波数比にして1:2:3:4:5をすべてならすことになります。

そして今回のバッハ・コレギウム・ジャパンの試みは大成功でした。ことなったたかさの音で実際にはありながら、すべての音がとけあって一つにきこえる完全なる調和が表現され、この世にあたえられたもっともうつくしい秩序が象徴されていました。

オルガンにかぎらず、さまざまな楽器・ソロ・合唱、ことなる多数の音が存在するにもかかわらず、あらゆる音がとけあって一つになり、完全なる調和がうまれていました。それは、部分の総和でもなく、部分が全体に吸収されたものでもありません。部分と全体は矛盾することなく、どちらもがいかされ、個即全・全即個あるいは多即一・一即多の秩序(コスモス)をつくりだしていました。世界の本質にふれさせてくれるすばらしい演奏でした。

今回の『マタイ受難曲』は、演奏会の合間をぬってセッション再録音もおこなわれました。来年の今頃には CD が発売されるそうです。

そこで、このようなバッハをきくためのオーディオ装置としては、新型のスイッチング式アンプとモニタースピーカーをおすすめします。“カラーリング” のない虚飾を排したシステムで本当の「バッハ」をきき、音楽の数学的なうつくしさをぜひ堪能してください。


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おすすめプリメインアン(スイッチングアンプ):marantz PM-12 & PM-10

スイッチングアンプとは、ごくひらたくいえば、スイッチのオン/オフによって電流のながれる時間を制御して、「オン時間の比率」によって音楽信号を増幅・表現する仕組みをもつアンプのことです。

marantz の PM-12 と PM-10 は最新の「クラスDアンプ」に分類され、音楽信号をパルス信号に変調し、これを、スイッチの高速オン/オフ(高速スイッチング)によって増幅するので「スイッチングアンプ」とよばれます。これは「デジタル的」なプロセスですが、実際には、すべてがアナログでおこなわれるため、PM-12 と PM-10 は、「デジタルアンプ」とはよばずに「スイッチングアンプ」であると marantz はのべています。

このメカニズムをつかつことによって高効率かつ省スペースが可能になり、PM-12 と PM-10 はプリメインアンプでありながら、「フルバランス構成」「モノラル2台分のパワーアンプ搭載」「セパレート電源」などのセパレートアンプの機能ももち、非常な高音質を実現しています。



おすすめモニタースピーカー:BBC モニター LS3/5a

LS3/5aは、倍音構造を完璧に再生する高性能モニタースピーカーです。BBC がライセンスし、プロの使用にもたえるように、バランス重視の完璧なチューニングがなされ、知的で緻密な鳴り方が特徴ですが つめたい感じはせず、艶のある音で音楽がたのしめます。倍音が完璧に再生されるため、人間の聴覚の調整により、小型スピーカーであるにもかかわらず、アコースティックな音楽では低音がたりないと感じることはまったくありません。

またミキングコンソール時などの劣悪な音響条件下でもきちんとした音がだせるように設計されているので、設置場所やリスニングルームの影響をうけにくく、とりあつかいが容易なスピーカーでもあります。

大音量でぼかすかならすのではなく、音楽の調和を感じ、音楽そのものをしっかりたのしみたい方におすすめします。

コストパフォーマンスをもとめるなら Stirling Broadcast LS3/5a V2、より高音質をもとめるなら Falcon Acoustics LS3/5a という選択になります。


おすすめ SACD/CD プレーヤー

マランツ自社製、完全オリジナルのディスクリート D/A コンバーター 「Marantz Musical Mastering(MMM)」を搭載し、どこまでも純粋な音を実現しました。すべてのパーツが独自開発された世界的にも希少な “フルオリジナル” プレーヤーです。USB 入力端子もそなえているので、 USB ケーブルでパソコンと接続して PC オーディオもたのしめます。


スペシャルサイトThe Marantz Soud

PM-12, PM-10, SA-12, SA-10 について解説しています。marantz のサウンドポリシーは「純粋さの追求」です。バッハやオルガン曲・バロック音楽などに最適です。透明感のある音響空間をたのしんでください。




インターナショナルオーディオショウその他のイベントで、DENON と marantz のプリメインアンプを多数回ききくらべた結果、marantz が1歩先にでたという印象をもちました。これまでは、 どちらかというと、重低音の DENON、透明感あるいはナチュラルな marantz といった「すみわけ」がありましたが、marantz が発売したスイッチング方式の PM-10 と PM-12 では、透明感(高解像)をたもちながら重低音もだすことができ、しかもその重低音は、無理にならすという従来のような音質ではなく、とてもナチュラルな重低音であり、ライブをおもにきいている人にもうけいれられる音質です。

また SACD/CD プレーヤー SA-10 と SA-12 では、オリジナル DAC をはじめ、100%自社開発という快挙をなしとげ、透明感のある理想の音質を実現しました。DAC を自社開発できるということはとてもおおきな強みです。

このように、marantz は、世界トップクラスのオーディオメーカーであり、このような真面目な企業が日本に存在するのはよろこばしいことです。「はじめに価格ありき」で、大富豪だけを相手にして金儲けをおこなっているどこかの会社とはちがいます。

現在、DENON と marantz は D&M ホールディングスとして経営統合されています。両者は今後、これまでどおりすみわけをつづけていくのか、技術提携をして新製品をだしてくるのか、わたしはしりませんが、いずれにしても、普通の人々がちょっと頑張れば手がとどくコストパフォーマンスにすぐれる製品を開発していただき、オーディオ文化の発展に従来にもまして貢献していただきたいとおもいます。