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JBL 4312G(左)と JBL 4312E(右)
旧モデル JBL 4312E はジャズ(やポップスやロック)をきくのにむきます。新モデル JBL 4312G はクラシック音楽もよくならし、現代的なスピーカーです。
歴史あるスピーカーブランド JBL より、コントロールモニター 4312 シリーズの最新機種 4312G が発売されました。これを記念して、新モデル JBL 4312G と 旧モデル JBL 4312E を比較する試聴会がビックカメラ新宿西口店 JBL ブースでひらかれました。講師は、オーディオ・ビジュアル評論家の麻倉怜士さんでした。


使用機材
  • CD プレーヤー:DENON DCD-SX1
  • プリメインアンプ:DENON PMA-SX1
  • スピーカー: JBL 4312G、JBL 4312E


いろいろな楽曲をつかって、旧モデル JBL 4312E と 新モデル JBL 4312G(希望小売価格 120,000 円 /1本/税別)を交互に比較試聴しました。

JBL スピーカーといえばジャスをおもいうかべる人がおおいように、旧モデル JBL 4312E はジャズがいいです。ドスンとした低音がひびき、とくに、ウッドベースにしびれてしまいます。全体として音楽が、ひとかたまりになって力づよくうったえかけてきます。またポップスもいいです。

しかしクラシック(管弦楽)はいまひとつでした。ウィーンフィルハーモニーのニューイヤーコンサートをききましたが、音の解像度がひくく、透明感もなく、新年の新鮮な雰囲気がつたわってきませんでした。やはりジャズがいいです。その躍動感に体がのってしまいます。

ところが 新モデル JBL 4312G をきくと様子がかなりちがいます。音の解像度があきらかにたかくなり、音のひろがりがおきくなり、音像定位もバランスいいです。ひとことでいうと、現代的なスピーカーになったといえるでしょう。ニューイヤーコンサートも、目の前に管弦楽団がひろがり、透明感のある会場の雰囲気がよくつたわってきました。新モデルは、オールランドスピーカーの傾向にかわりました。

ジャズやポップスも普通にきく分には問題はありませんが、旧型をきいたあとだと新型は、ややおとなしくなった、線がほそくなった感はいなめません。これには、このみの問題もあるとおもいます。解像度がたかくなれば、線がほそくなった(繊細になった)感じがしたり、音場がゆたかにひろがれば、かたまり感がなくなったりするのは当然のことです。

おなじシリーズのスピーカーですが、旧モデル JBL 4312E と 新モデル JBL 4312G はほぼ別物とかんがえたほうがよいです。そのくらい音質がことなります。

したがって往年のオーディオファンや、ジャズ(やポップスやロック)のみをきく人、リズムにのりたいという人には旧モデルの JBL 4312E がよく、ジャズ(やポップスやロック)もきくがクラシック音楽もきくという人には新モデル  JBL 4312G のほうがよいです。

オーディオには、機器の性能だけでなく、リスナーの耳の慣れの問題もあります。長年きいてきている音が耳になじんでいる場合は、新型できいてみると、ちょっとことなる音をきいただけで違和感を感じてしまうことがありますが、オーディオ歴がまだあさい人にとっては新型でまったく問題ありません。

これはスピーカーだけでなく、たとえばスイッチング方式の近年の新型アンプをつかって音楽をきいた場合にも、音質のちがいに若干の違和感を最初は感じることがあります。しかしおおくの場合、時間が問題を解決します。しだいに耳が慣れていくとともに、あともどりはできなくなります。

オーディオにも時代の潮流があり、今日では、よくできた高音質な音源を反映して、高解像、にじみのない音像定位、ゆたかにひろがる音場などがオーディオ機器にもとめられるようになってきています。JBL の改善もこのながれにそったものでしょう。今回の試聴会に参加して、現代の潮流の変化をあらためて認識しました。


JBL 4312G ペア
 ※ 価格表示は、1本の場合とペアの場合がありますのでご注意ください。


JBL 4312 シリーズは、1982年に登場した人気シリーズ(ロングセラー)であり、1970年代初頭に登場したプロ用モニタースピーカー JBL 4310 を祖とし、2016年には、JBL 創立70周年を記念して 4312SE が発売され、今回、30cm3ウェイの最新コンシューマ・バージョン L100CLASSIC の技術要素を移植したあらたな次元のコントロール・モニターが誕生しました。

  • 形式:3ウェイ・ブックシェルフ型
  • 周波数特性:44Hz~40kHz(-6dB)
  • クロスオーバー周波数:640Hz/5kHz
  • 出力音圧レベル:90dB(2.83V/1m)
  • インピーダンス:6Ω
  • 外形寸法:362×305×597mm(幅×奥行き×高さ)
  • グリルを含む重量:25.2kg

レスポンスに優れた最新ユニットの持ち味を引き出すため、4312SE ゆずりの高品位素子をもちいた3ウェイネットワークを内蔵、ウーファーは12インチ(300mm)の「JW300SW」、JBL 史上最強とする1200FE 系ユニットの特徴をうけつぎながら最新の解析技術をとりいれて低歪み化、より高分解能なサウンドにしています。ミッドレンジは5インチ(125mm)で、ポリマーコーティング・ピュアパルプコーンの「JM125PC」、ツイーターは「新世代モニターに課せられた良好な超高域レスポンスを実現する」という1インチ(25mm)アルミ-マグネシウム合金のドーム型で、ネオジウムマグネット搭載の「054AlMg-1」です。

従来のモデルにくらべて 4312G は、箱の強度が若干アップしていることもあり、 余計な共振をおさえたクリアーなサウンドを実現しています。


▼ 注
JBLは、ハーマン・インターナショナル・インダストリーズが保有するブランドの一つです。