音源/プレーヤー、アンプ、スピーカーの基本的なしくみについてしっておくと機器の選択・購入がしやすくなります。
オーディオは決してむずかしくありません。たとえばスマートフォンやパソコンやブルーレイレコーダーなどをすでにもっているのであれば、アンプとスピーカーを買いたすだけであなたのオーディオシステムができあがります。

オーディオでは、機器のひとつひとつをコンポーネント(略してコンポ)といい、その基本要素は、プレーヤーやパソコンなどのソース系、音楽信号を増幅するアンプ系、スピーカーやヘッドホンの出力系の3つです。これらのコンポをくみあわせてあなたの音をつくりだすところにオーディオの醍醐味があります。



1. 音源/プレーヤー

1-1. CD/SACD プレーヤー

CD は、デジタルデータ(1と0の信号)を盤面に記録したディスクであり、CD プレーヤーが、レーザービームを照射して CD の信号をよみとります(ピックアップします)。CD プレーヤーには、「エラー訂正」「エラー補正」の機能がついていて、よみとりエラーがおきたときはデータを訂正したり、近似値に補正したりすることができます。よみとられたデジタルデータは内蔵された DAC(デジタル/アナログ・コンバーター)でアナログ信号に変換され、そのアナログ信号がアンプ、さらにスピーカーへおくられて音楽が再生されます。機器の接続方法はつぎのようになります。

〔CD プレーヤー〕—〔アンプ〕—〔スピーカー〕


このように CD プレーヤーは、デジタルデータのよみとり部分と DAC から基本的に構成されます。

データよみとり → DAC


これらのうちのデータのよみとり部分を独立させた機器が「CD トランスポート」です。また DAC も、独立した製品としてもさまざまなものが販売されています。より高音質をもとめるために、CD トランスポートと DAC を別々に買うという方法もあります。つぎのような接続になります。

〔CD トランスポート〕—〔DAC〕—〔アンプ〕—〔スピーカー〕


また SACD(スーパーオーディオ CD)とは、CD の次世代メディアとしてさらなる高音質化を実現したディスク です。SACD は、人間の可聴域をおおきくこえる100kHz(CD は20kHz)までの周波数帯域と、音の大小の再現範囲をしめすダイナミックレンジも、CD の約90dBをはるかにうわまわる120dB以上の情報を記録することができます。さらに2chのステレオ再生だけでなく、5.1chのマルチチャンネル再生にも対応しています。記録される音声形式は、CD の PCM 形式とはことなり、DSD 形式が採用されています。

SACD は、データをよみとるレーザの波長が CD のそれとはことなるため既存の CD 専用プレーヤーでは再生できません。そこで CD も SACD もよみとれる CD/SACD プレーヤーが発売されています。SACD も再生したい場合は CD/SACD プレーヤーを購入してください。

またディスクのほうも、CD 層と SACD 層がかさなって盤面に記録されたハイブリッドタイプのものが発売されています。CD 専用プレーヤーでは CD 層を、CD/SACD プレーヤー では SACD 層を再生することができます。

また最近の CD/SACD プレーヤーは、USB 入力端子をそなえているものがおおく、パソコンやスマホからデータを USB 入力し、CD/SACD プレーヤーの内蔵 DAC をつかって再生するということができます(この場合は、プレーヤーの CD データよみとり機能はつかいません)。  CD/SACD プレーヤーを買う際にはこの機能の有無についても確認してください。



1-2. ユニバーサルプレーヤー

ユニバーサルプレーヤーは、現行のディスクメディアのほとんどを再生することができる大変便利なプレーヤーです。
  • CD
  • SACD ステレオ
  • SACD マルチチャンネル
  • DVD ビデオ
  • ブルーレイディスク、など

このプレーヤーは、映像出力と音声出力(マルチチャンネルをふくむ)を1本のデジタルケーブルで伝送できる「HDMI 出力」をそなえているので、テレビや後述する AV アンプ と HDMI 接続して、映画や音楽を手軽にたのしむことができます。再生専用機器であるため、いわゆるブルーレイレコーダーよりも高音質がえられます。映画(動画)も高音質でたのしみたい、映画館のようなマルチチャンネル(サラウンド)を体験したいという場合にはユニバーサルプレーヤーを買うとよいでしょう。接続の方法はつぎのようになります。

〔ユニバーサルプレーヤー〕—〔AV アンプ〕—〔スピーカー&テレビ〕




1-3. PC オーディオ(USB オーディオ)

パソコン(Windows や Mac)と USB-DAC を USB ケーブルでつないで音楽再生をたのしむ方法です。つぎのような接続になります。

〔パソコン〕—〔USB-DAC〕—〔アンプ〕—〔スピーカー〕


すでにパソコン(Windows や Mac)をもってるのであれば、CD プレーヤーなどを買う必要がないので、コストパフォーマンスのたかいシンプルな方法になります。音源(ファイル)の再生や管理は、Windows でしたら Media Player、Mac でしたら iTunes などの既存のプレーヤーアプリで簡単にできますし、より高音質をもとめるのであれば、オーディオに特化した専用アプリをつかうこともできます。

パソコンには、イヤホンジャックがついていますが音質がわるいので USB-DAC をつかいます。USB-DAC は、パソコンと DAC を USB ケーブルでつなげる DAC であり、パソコンのデジタルデータをアナログ信号に変換、高音質がえられます。

USB-DAC には、DAC 機能だけをもつシンプルなものから、ボリューム装置をもつもの、ヘッドホンアンプとしても機能するものなど、さまざまな製品が発売されています。一般的には、ヘッドホンアンプ機能がついたものが便利でつかいやすいです。

なお USB-DAC をつかうにあたって Windows の場合は USB ドライバーを基本的にはあらためてインストールしなければなりません(使用説明書をみてください)。Mac の場合は基本的にはその必要はないので簡単です。

音源(ファイル)再生にあたっては、 Media Player  や iTunes でもいいですが、もっと高音質をもとめるのであればつぎのような専用アプリ(再生プレーヤー)もあります。

  • Jriver Media Center (Windows と Mac に対応、有料)
  • foobar2000(Windows、無料)
  • Audirvana Plus(Windows と Mac に対応、有料)
  • HQ-Player(Windows と Mac に対応、有料)





2. アンプ

アンプは、アンプリファイヤー(Amplifier)の略で増幅器を意味します。プレーヤーやパソコンなどからながれてきた電気信号はとても小さいものなので、それを増幅させてスピーカーへおくるのがおもな役割です。高音質な音楽ソースをいかすもころすもアンプ次第です。

つぎのような種類があります。
  • コントロールアンプ(プリアンプ)
  • パワーアンプ(メインアンプ)
  • プリメインアンプ
  • AV アンプ
  • 真空管アンプ


2-1. コントロールアンプ(プリアンプ)

コントロールアンプのおもな機能は入力切替・音量調節・音質調整の3つです。プリアンプともよばれます。


2-2. パワーアンプ(メインアンプ)

スピーカーを駆動するためのアンプであり「メインアンプ」ともよばれます。スピーカーには振動板とよばれる、磁石とコイルがつながった「スピーカーユニット」が搭載されており、それを振動させるための大きな電力をつくります。

アンプは、「増幅素子」とよばれるパーツ(半導体や真空管)に電気をとおして動作させることで信号を増幅させます。素子が信号を増幅する際の比率は、つねに直線的というわけではなく、S字カーブをえがきます。そのカーブのなかのどの部分をつかって増幅させるかによって動作方式がわけられます。

A級動作
素子の増幅のなかで直線的で一番安定した部分をもちいるため歪みのない増幅ができます。しかし最大出力に必要な電流が常時ながれるので、音楽信号が入力されていないときは電流がすべて熱に変換され、発熱がとても大きくなるという問題があります。

AB級動作
現在、もっとも標準的な方式です。A級に対してB級動作という方式があり、これは、S字カーブのまがりはじめを基点にして動作させます。また音楽信号がながれていないときには待機状態にして、最小の電流だけをながします。そしてA級動作とB級動作のメリットを合体させた方式がAB級動作です。入力信号が小さいうちはA級動作させ、入力が大きくなるとB級動作をおこないます。

D級動作
増幅素子を非直線的(ノンリニア)に動作させる「スイッチング」とよばれる方式のアンプであり、「スイッチングアンプ」あるいは「デジタルアンプ」とよばれることもあります。このアンプは、損失がすくなく省エネルギー性にすぐれるので、アンプの小型化や高出力化が容易であるという特徴をもちます。近年、もっとも進歩がいちじるしく、すぐれた製品がつぎつぎに発売されています。注目すべきアンプです。


2-3. プリメインアンプ

プリアンプ(コントロールアンプ)とメインアンプ(パワーアンプ)が一体化され、ひとつのコンポになったアンプであり、インテグレーテッドアンプともよばれます。アンプに要求される機能のすべてが統合されたとても便利なアンプです。

これからオーディオをはじめる場合は、プリアンプとメインアンプを別々に買うよりも、コストパフォーマンスがたかく、設置スペースもちいさいプリメインアンプからはじめるとよいでしょう。


2-4. AVアンプ

AV アンプ(オーディオ&ビジュアル・アンプ)は、ユニバーサルプレーヤーやテレビとつないで映画(動画)やテレビ番組も高音質でたのしめ、また 5.1ch などの多チャンネル音声を再生できるアンプです。従来は、オーディオ専用アンプにくらべて音質がおとるといわれてきましたが、近年は、高音質がえられる AV アンプがたくさん発売されています。映画や音楽番組をよくみる人や、ミュージカルやオペラファンでしたら AV アンプを買ったほうがよいでしょう。

基本的な接続はつぎのようになります。ユニバーサルプレーヤーと AV アンプ、AV アンプとテレビは HDMI ケーブルで接続します。AV アンプとスピーカーはスピーカーケーブルで接続します。

〔ユニバーサルプレーヤー〕—〔AVアンプ〕—〔テレビ&スピーカー〕


あるいはブルーレイレコーダーをすでにもっていて、ブルーレイレコーダーとテレビを直接つないでテレビのスピーカーで音声をきいている人がおおいとおもいます。その場合でも、AV アンプとスピーカーを買いたせば(ユニバーサルプレーヤーを買わなくても)段違いに音質がよくなります。ブルーレイレコーダーで受信あるいは録画したテレビ番組も高音質でたのしめます。つぎのような接続になります。

〔ブルーレイレコーダー〕—〔AVアンプ〕—〔テレビ&スピーカー〕


AV アンプは、5.1ch などのマルチチャンネル音声(サラウンド)再生ができますが、スピーカー2本によるステレオ(2ch)再生でも十分にたのしめます。AV アンプというと、スピーカーをたくさんそろえなければならないので大変だとおもっている人がいますがその必要はなく、スピーカー2本のステレオ再生からはじめればよいのです。将来的に余裕がでてきたらスピーカーを買いたしてみるということでよいでしょう。

今日の AV アンプは実際には、さまざまな機能をもつ複合機になっています。たとえばデジタル信号を変換するための DAC を搭載しています。したがってたとえば CD プレーヤーのデジタル出力をつないで高音質オーディオとしてたのしむこともできます。また USB 接続ができるので、USB メモリーやパソコンなどに保存したファイル音源を再生したり、Bluetooth 機能がついているのでスマートフォンの音源を再生することもできます。このように AV アンプは汎用性がたかく、ホーム AV システムのコアとして大変便利でつかいやすくなっています。もっと普及してよいアンプです。





3. スピーカー

スピーカーは、オーディオの音質をもっとも左右する存在です。スピーカーを構成するそれぞれの要素が、なぜそういった傾向の音をうみだすのかという原理をしっていれば、自分のこのむ音をだすスピーカーをみつけやすくなります。

わたしたちがオーディオ機器できく音楽は、空気という媒質を介して耳にとどく圧力変化の周期的な運動、つまり空気の「揺れ」の集合とかんがえてよいでしょう。空気のない真空状態では揺れが生じないので音もありません。空気の揺れは、空気の密度がたかくなったりひくくなったり、おしあったりひっぱりあったりという運動、つまり「粗密運動」であり、これをつくりだすのがスピーカーです。


3-1. スピーカーユニット
スピーカーシステムに搭載された空気の揺れをつくりだす部分を「スピーカーユニット」(あるいは単に「ユニット」)といいます。電気信号を音に変換する方式によりスピーカーユニットにはさまざまな種類があります。

ダイナミック型(動電型)
スピーカーユニットの原理のほとんどは磁石とコイルと電流によるものです。磁石のあいだにおかれたコイルに電流をながすとコイルがうごき、うごきが振動板につたわり、空気の揺れをつくりだします。このコイルを「ボイスコイル」とよび、この方式を「ダイナミック型(動電型)」といいます。ほとんどのスピーカーユニットがダイナミック型を採用しています。

ダイナミック型スピーカーは音を放射する方式により「直接放射型」と「ホーン型」にわけられます。

直接放射型は、振動板形式により、「コーン型」「ドーム型」「平面型」「リボン型」「ハイル型」にわけられ、コーン型がもっとも一般的です。

ホーン型は、ダイナミック型のちいさなスピーカーユニットの前面にメガホンのような「ホーン」とよばれる音の反射装置がついたもので、ホーンで音を反射させてリスナーにつたえるため、直接反射型にくらべて非常に効率がよいことが特徴です。


コンデンサー型(静電型)
下敷きをこすると静電気が発生して髪の毛がすいつきます。このような静電気をつかうのがコンデンサー型です。具体的には、平らな電極とそのうえに並行に設置したうすいフィルムとのあいだに電圧をかけ、そのフィルムを振動させることによって空気の揺れをつくりだします。

ダイナミック型にくらべて構造が複雑でコストもかかりますが繊細な音が表現できる魅力的な方式です。


ピエゾ型(電歪型)
特殊なセラミックなどを電極ではさみ、そこに電圧をかけることで振動させる方式です。非常にこまかい揺れ(たかい周波数)のみがえられる方式であり、ひくい音はでませんがきわめて繊細な音がえられるので、ヘッドホンやスーパーツイーターなどにつかわれます。



3-2. マルチウェイスピーカー
さまざまな種類のスピーカーユニットそれぞれの特徴を利用し、音の揺れの周期によって役割を分担させることを「帯域分割」とよび、2つ以上のユニットにより帯域が分割されたスピーカーを「マルチウェイ」スピーカーとよびます。

マルチウェイは、分割した数に応じて、2ウェイ、3ウェイ、4ウェイとふえていきます。担当する帯域ごとにユニットが分類されており、高域用が「ツイーター」または「ハイ」、中域用が「スコーカー」または「ミッド」、低域用が「ウーファー」または「ロー」「バス」となります。

  • 高域用ユニット:ツイーター
  • 中域用ユニット:スコーカー
  • 低域用ユニット:ウーファー

また補助的なユニットとして、ツイーターよりもさらに高域を担当する「スーパーツイーター」、ウーファーよりもさらに低域を担当する「サブウーファー」があります。

たとえばツイーターとしては、中音域から高音域が得意なドーム型ユニットや繊細な高温を得意とするリボン型ユニットがつかわれたり、スコーカーやウーファーには、低音から高音までをつたえることができるコーン型がつかわれたりします。

なお1つのユニットですべての帯域をまかなうスピーカーを「フルレンジ」スピーカーとよびます。マルチウェイスピーカーの場合は、ツイーター・スコーカー・ウーファーをつくる材質のちがいから帯域ごとの音色・音質の変化が気になることがありますが、フルレンジスピーカーでは音色・音質が全帯域で統一されて違和感が生じないというメリットがあります。


ネットワーク回路
音楽信号を、いくつかのスピーカーユニットに分担させるためには、帯域ごとに信号を分割しなければなりません。この帯域をわけるのが「ネットワーク回路」であり、帯域をわけるポイント(境界)になる周波数を「クロスオーバー周波数」といいます。

普通のスピーカーのほとんどはネットワーク回路を内蔵しており、アンプからの出力をスピーカーが自動的に分割して音をだします。これは「パッシブネットワーク」といい、コンデンサーやコイルなどの受動素子から構成される静的な回路です。

一方、電子回路上で帯域分割を動的にコントロールするのが「アクティブネットワーク」であり、帯域分割をおこなう機器を「チャンネルデバイダー」とよびます。これはおもに、自作スピーカーや一部のハイエンドスピーカーやカーオーディオなどでよくつかわれる方式です。パッシブネットワークよりもより精密な帯域わけができ、後述するマルチアンプ駆動とともにもちいられます。


バイワイヤリング駆動
スピーカーシステムは、パッシブネットワーク回路の構成によって、2本1組(2端子)のみでつなぐ「シングルワイヤリング」方式スピーカーと、2本2組(4端子)でつなげる「バイワイヤリング」対応スピーカーがあります。

  • シングルワイヤリング
  • バイワイヤリング

バイワイヤリング接続は、高域側と低域側のユニットを別々のケーブルで接続する方法であり、スピーカーユニットがうごいた際に生じる不要な電力(逆起電力)の影響をたがいのユニットがうけないようにして音質劣化をふせぐ接続方式です。

ただしマルチウェイスピーカーでも、ネットワーク回路の複雑化などをさけるために、シングルワイヤリング方式にあえてする場合があり、シングルワイヤリングよりもバイワイヤリングの方が高音質であるときめつけることはできません。この点は注意してください。

バイワイヤリングの一般的なつなぎかたは、高域側と低域側それぞれの端子とアンプのA系統とB系統それぞれの端子とを接続する方法です。アンプ側の端子が1系統しかない場合は、アンプから二俣にわけて接続すれば同様の効果がえられます。

またバイワイヤリング接続を利用して、スピーカーユニットごとに別々のアンプで駆動する方式を「バイアンプ駆動」とよびます。この方法は、それぞれのアンプがそれぞれのユニットを鳴らすことに専念できるために帯域ごとの相互干渉がなくなり、解像度がたかい分離のよい音がえられるとされます。コストはかかりますが理想的な駆動方法のひとつです。

さらにこれをおしすすめたのがアクティブネットワークとくみあわせてもちいられる「マルチアンプ駆動」です。これは、アクティブネットワークで信号の帯域わけをおこなったあとに、それぞれのユニットに対して1台ずつのパワーアンプを直結して駆動する方法です。逆起電力の相互干渉もアンプ内での帯域干渉も排除できるので、アンプとユニットの能力を最大限にひきだせます。


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図1 バイワイヤリング接続
高域と低域のユニットにあわせて1本のスピーカーに4つの端子をもつスピーカーをバイワイヤリング対応スピーカーといいます。スピーカーを買ってくると初期状態では、高域側端子と低域側端子がショートバー(ジャンパーケーブル)でつながれているので通常のシングルワイヤリング接続も可能です。バイワイヤリング接続をする場合はのべ4本のスピーカーケーブルを用意し、高域と低域に別々に信号をおくります。アンプの端子が1系統の場合は図1左図のようにつなぎ、アンプの端子がA・Bの2系統がある場合は図1右図のようにそれぞれにつなぎます。


3-3. エンクロージャー
スピーカーユニットをおさめる箱のことを「エンクロージャー」あるいは「キャビネット」とよびます。

スピーカーユニットのおおくは振動板がうごくことによってユニットの全面と後方に音をだします。そのとき、一方では空気がおされ(空気の圧力がたかくなり)、他方では空気がひかれ(空気の圧力がひくくなり)ます。すると前にでた音と後ろにでた音はうちけしあい、2つの音が相殺してゼロの状態になってしまいます。

そこで前後2つの音がうちけしあわないように前後の音をへだてるものが必要になります。そのためには長大な壁が理想的であり、これを「無限大バッフル」と概念上よびます。バッフルとは隔壁ということです。しかしそのような長大な壁は現実的ではないため、箱におさめるという方法がつかわれ、エンクロージャーがつくられます。


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図 左から密閉型、バスレフ型、ホーン型


密閉型
エンクロージャーにもさまざまな形式があります。密閉型のエンクロージャーは完全に密閉された箱であり、もっともシンプルな形式です。朗々と鳴るゆたかな低音ではなく、ひきしまった低音、くっきりした明瞭な音質、バランスのよい音場がえやすいという特徴があります。シンプルでつくりやすい反面、とじこめられた内部の空気がバネのはたらきをしてスピーカーユニットのはたらきをおさえこんでしまうので、エンクロージャーをおおきくしたり、強力なユニットを搭載したりしなければなりません。


バスレフ型
現代のスピーカーのおおくがこの形式です。バス・リフレックス型と正式にはいい、スピーカー本体にダクトとよばれる穴をそなえています。スピーカーユニットの裏側から放射される音を利用して低域成分を補強する構造のエンクロージャーであり、「ヘルムホルツ共鳴」という共振現象をつかって特定のひくい周波数の音だけをダクトから放出します。これを、ユニットの正面からでる正相の音とくみあわせることで、小型スピーカーでも量感のある低音がえられる仕組みです。このためバスレフ型は、別名「位相反転型」ともいわれます。

しかしバスレフ型は、ダクトの筒の長さや口の形状、穴をもうける場所など、設計に高度な技術が要求されます。設計がいいかげんなバスレフ型スピーカーでは、しまりのわるい低音や特定の音域の低音が強調されて再生されたり、不自然できもちわるい低音がでたりします。このような性能のひくいバスレフ型スピーカーを買うくらいなら密閉型を買った方がよいでしょう。

またダクトから放出される空気の量がおおいと低音がふくらみすぎたり、ダクトでノイズが発生したりすることがあります。そこで底面に音を放射させたり、リアバッフル側(後ろ側)に音を放射させる工夫をしたスピーカーもあります。


ホーン型(フロントロード型、バックロード型)
フロントロード型は、ユニットの前方にメガホンのようなもの(ホーンとよばれるウェーブ(音波)ガイド)をとりつけて空気の振動をコントロールし、効率よく音を放射します。ユニットが小型ですむために応答性にすぐれた歯切れのよい音がえられます。

バックロード型は、バスレフ型のように、ユニット背面から放射された音を利用し、エンクロージャー内でユニットの後方にホーン構造をもうけ、ゆたかで豪快な低音をつくりだします。おおくの場合、エンクロージャー内で末広がりに音がなるように設計され、幾重にもおりたたまれた「音の通路」を箱のなかにもうけています。


その他の形式
少数派ですが、バックロードホーン型に似た「トランスミッション・ライン型」や「音響迷路型」など、複雑なホーン構造をもったエンクロージャーもあります。



3-4. サイズ・形状による分類
ブックシェルフ型
コンパクトなスピーカーであり、本棚に設置できるサイズというのが名称の由来です。バッフル面の反射がすくないために音への悪影響がなく、明瞭な音像定位がえやすいという特徴があります。サイズがちいさいため低音がでにくいとおもわれがちですが、近年は、必要にして十分な低音がえられるスピーカーも多数 発売されており、ニアフィールドリスニングに最適です。

またシステムとは一般的に、おおきくなればなるほどコントロールがむずかしくなり、設計や製作にも高度な技術が要求されます。その点、小型のブックシェルフ型スピーカーはコントロールが容易であり、コストパフォーマンスがよいすぐれたスピーカーが結構みつかります。

フロアー型
大型サイズのウーファーを搭載した最大のスピーカーであり、床面に設置します。

トールボーイ型
小口径のユニットを縦に配置した細身のフロアー型スピーカーであり、ブックシェルフ型+スタンドとおなじ設置スペースで、エンクロージャー容積を背の高さでかせいで、低音域の再現能力を拡大しています。



3-5. ユニークなユニットの構造と配置
同軸型
ツイーターとスコーカー、ツイーターとウーファーがおなじ軸上に配置されたユニットです。ユニット自体が同心円状に分割されたタイプや、ユニットが立体的に交差して配置されているタイプがあります。音の発生位置をそろえられるので、明瞭な音像定位がえられます。タンノイのスピーカー「PRESTIGE GOLD REFERENCE シリーズ」は同軸型としてよくしられています。また TAD も同軸型を採用しています。

仮想同軸配置
ツイーターをはさんでウーファーをその両側に設置する方式です。仮想的におおきな同軸音源をつくりだし、「バーチカルツイン」ともよばれます。