雰囲気のよさと高解像が調和し、音像定位と臨場感ががすばらしいです。あらゆるジャンルの音楽をきびきびとかなでます。ニアフィールドリスニングに最適です。
英国の名門 タンノイ(TANNOY)のブックシェルフ型スピーカー「オートグラフ ミニ GR」(Autograph mini/GR)試聴会に参加しました(ビックカメラ新宿東口店, 2018.6.24)。
まず比較試聴ということで、タンノイのブックシェルフ型スピーカー「レボリューション XT 6」(Revolution XT 6, 約 12 万円/ペア)をききます。
アンプは DENON PMA-SX1、CD プレーヤーは DENON DCS-SX1 です。
「デュアルコンセントリック(同軸 2 ウェイ)」の点音源なので音像定位がいいです。やわらかいタンノイサウンドといった感じです。
つぎに Autograph mini/GR にスピーカーをかえて試聴します。
すばらしい!
Autograph mini/GR をきいてしまったら Revolution XT 6 にはとてももどれません。価格差をはるかにこえて Autograph mini/GR がいいです。Revolution XT 6 の購入を検討している人がいたら、多少無理してでも Autograph mini/GR を買うべきです。次元がちがいます。
デュアルコンセントリック(同軸 2 way)の点音源ですから音像定位は完璧であり、空間表現がみごとです。ポップスやジャズではボーカルが中央に定位し、一点から 360 度の方向に歌声がひろがっていきます。ベースのはじける低音も気持ちいいです。クラシック音楽では、弦楽器のしみいるような うるわしさ、つややかさ、なめらかさ。目を閉じてきいてください。コンサートホールの1階中央あるいは2階最前列の特等席に本当にいるような臨場感、「コンサートホールを我が家に」というタンノイのキャッチフレーズは嘘ではありませんでした。
タンノイの上質な雰囲気をたもちながらも音抜けがよく、小型スピーカーならではのスピード感、透明感もすぐれています。昨今のハイレゾ再生を意識してか、従来のタンノイから何歩もすすんで現代的になりました。雰囲気のよさと高解像が両立したようなバランスのよいスピーカーです。ジャンルをとわず、あらゆる音楽をたのしめます。ニアフィールドリスニングに最適です。
デザインもいいです。TANNOY GR シリーズの外観を採用、ゴージャスです。インテリアとして買う人もいるそうです。リスニングルームやリビングルームが何ランクもグレードアップします。
タンノイの PRESTIGE GOLD REFERENCE シリーズには、上位モデルの Stirling/GR や Turnberry/GR や Kensington/GR などがありますが、これらよりもはるかにキビキビと明快に音楽をかなで、雰囲気はかなりちがいます。上位モデルを小型にしたスピーカーではなく、別物とかんがえたほうがよいでしょう。上位モデルの廉価版でもありません。
またイベント当日は、比較試聴ということで、タンノイ LEGACY シリーズの Eaton もききました。これは、超いやし系のむかしのスピーカーといった感じで、どこまでもやわらかく、ゆたかな低音が特徴的です。
やはり Autograph mini/GR いいです。これで実売価格 約 30 万円というのはかなりお買い得ではないでしょうか。今年一押しのスピーカーといってよいでしょう。
このようなことからいってもブックシェルフ型スピーカーは日本の一般的な住宅のルームに最適です。みごとな臨場感を味わえます。
※ メーカーサイト
ブックシェルフ型スピーカーは低音がでないとかつてはいわれていましたが今はちがいます。近年の技術の進歩はいちじるしく、スピーカーだけでなく、アンプの性能も飛躍的にあがっているため、ブックシェルフ型スピーカーでも十分な低音がでるようになりました。こうなってくると、トールボーイ型スピーカーでは低音がですぎる、ふくらみすぎるといったことがおこります。
今回の試聴会ではプレーヤーとアンプは DENON をつかいました。 Autograph mini/GR との相性はよく、十分信頼できるくみあわせです。ただし Autograph mini/GR は録音をチェックするためのモニタースピーカーではなく、音楽そのものをたのしむためのスピーカーであり、 音源やプレーヤーやアンプの個性をダイレクトには反映しないので、どのようなプレーヤーやアンプをもってきても比較的ならしやすいという特徴があります。
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イベント当日は特別ゲストとして、ケンバニストの塚谷水無子さんをおまねきしており、バッハ作曲(ブゾーニ編曲)《ゴールドベルク変奏曲》など、塚谷さんの演奏を録音した CD を御自身の解説つきでききました。
わたしは、《ゴールドベルク変奏曲》のブゾーニ編曲版は今回はじめてききました。バッハのオリジナルはチェンバロのためにかかれていますが、ブゾーニは、バロックの響きを現代ピアノでどう響かせればよいかに腐心し、おもいきった編曲をしています。
塚谷さんの演奏は、ブゾーニの楽譜をみごとに紐解き、ひとつひとつの音をふみしめるように、ゆっくりめのテンポですすんでいき、まるで交響曲をかなでるかのように壮大なフィナーレをむかえます。こんな《ゴールドベルク変奏曲》ははじめてです。ききなれた曲でもこうしてきいてみて、音楽は奥深いものだとあらためて感慨にふけりました。
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タンノイのスピーカーは弦楽器の演奏にいいということは誰もがみとめます。しかし Autograph mini/GR はちがいます。ピアノもいい。これは、エンクロージャーが小さいことからくる大きなメリットのひとつです。
スピーカーは、大きくなればなるほど音のレスポンスがおそくなります。きびきびとした感触がなくなり大味になります。すると弦楽器(とくに低音)にはよくても、ピアノや打楽器にはむかないといった現象が一般的におこります。
またシステムは、大きくなればなるほどコントロールがむずかしくなります。こっちにあわせれば、あっちがあわないといったことがおこりやすくなります。相互干渉が内部に生じやすくなります。その点、スモールシステムはコントロールが比較的容易であり、Autograph mini/GR の完成度の高さは申し分ありません。
また大きなスピーカーは、大きなリスニングルームで大きな音量でならしたときにその性能を発揮します。しかし、たとえば 12 畳以下の比較的せまいルームで大音量でならした場合、壁などに音がすぐにはねかえってきて直接音と反射音がめちゃくちゃにまざりあい、音がごちゃごちゃになって、こまかい音はきこえなくなり、何をきいているのかわからなくなります。音像定位も音場もあったものではありません。
スピーカーの大きさと部屋の大きさと音量は相関しているのであり、スピーカーの大きさにあわせて適切な部屋の大きさと音量を選択しなければなりません。スピーカーは大きい方がいいと誤解して、せまいルームに大きなスピーカーをいれるのはよくありません。オーディオは機材だけでなく、それをいれる空間と音量も重要です。
スピーカーの大きさと部屋の大きさと音量は相関しているのであり、スピーカーの大きさにあわせて適切な部屋の大きさと音量を選択しなければなりません。スピーカーは大きい方がいいと誤解して、せまいルームに大きなスピーカーをいれるのはよくありません。オーディオは機材だけでなく、それをいれる空間と音量も重要です。
このようなことからいってもブックシェルフ型スピーカーは日本の一般的な住宅のルームに最適です。みごとな臨場感を味わえます。
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2016 年に製造中止となったオートグラフ・ミニが、プレステージ・ゴールドリファレンス・エディション、Autograph mini/GR として 2018 年 6 月に復活しました。タンノイ伝統のデュアルコンセントリックを継承し、もっとも小型の 10 インチ(4センチ)同軸2ウェイ・ユニットを搭載することにより、スピーカーの存在がきえてしまう自然な音場をうみだします。
オリジナルのオートグラフに準じて平行する面をもたないエンクロージャー形状により内部定在波と不要な反射を分散させ、強固なブレーシング(添え木)により音量をあげてもきわめて共振がすくなく、サイズからは想像できないゆたかな低音を再現します。
クロスオーバーネットワークは Autograph mini/GR のためにあらたに設計され、タンノイ専用のカスタムコンデンサなどにより、すぐれた音質をほこります。英国製というのも信頼できる重要なポイントです。英国内で、熟練の職人チームが一台一台ていねいにハンドメイドでつくりあげ、伝統を継承しています。
- エンクロージャー型式:バスレフ方式(リア)
- 使用ユニット:10cm同軸2ウェイ(高磁束密度マグネット/100mmファイバーパルプコーン型ウーハー/19mmチタニウムドームツイーター)
- 能率:85dB(W/m.1kHz)
- 連続許容入力(RMS):50W
- 最大許容入力(瞬間):200W
- 入力インピーダンス:8Ω
- クロスオーバー周波数:2kHz
- 周波数特性(±3dB):60Hz~54kHz
- エンクロージャー仕上げ:ウォールナット無垢/突き板仕上げ
- エンクロージャー容積:3.45ℓ
- 外形寸法(W×H×D):209mm×356mm×156mm
- 質量:4.4kg/台
ブックシェルフ型スピーカーは低音がでないとかつてはいわれていましたが今はちがいます。近年の技術の進歩はいちじるしく、スピーカーだけでなく、アンプの性能も飛躍的にあがっているため、ブックシェルフ型スピーカーでも十分な低音がでるようになりました。こうなってくると、トールボーイ型スピーカーでは低音がですぎる、ふくらみすぎるといったことがおこります。
今回の試聴会ではプレーヤーとアンプは DENON をつかいました。 Autograph mini/GR との相性はよく、十分信頼できるくみあわせです。ただし Autograph mini/GR は録音をチェックするためのモニタースピーカーではなく、音楽そのものをたのしむためのスピーカーであり、 音源やプレーヤーやアンプの個性をダイレクトには反映しないので、どのようなプレーヤーやアンプをもってきても比較的ならしやすいという特徴があります。