DIATONE と TANNOY、そして FOCAL をききました。スピーカーには、原音忠実型と雰囲気重視型があります。両極端の音を比較試聴してみると両者の中間的な音もよくわかってきます。

■ DIATONE スピーカー DS-4NB70

DIATONE ブースにて、DIATONE のあたらしいスピーカー DS-4NB70 をききました。おどろくべき高解像、するどい切れ味、群をぬく高速レスポンス、低音もおくれない。まったくすごい高性能スピーカーです。“一聴の価値” があります。

ブースでは、DIATONE のエンジニアが革新的な振動板素材「NCV-R」について下図をつかって説明していました。振動板素材はスピーカーの音質を決定づける重要な要素です。


Diaton


一般的な振動板によくつかわれるのがポリプロピレンです。これは、素材がもつ固有音の影響はちいさいですが振動の伝搬速度はおそいという問題があります。一方、アルミニウムやチタンやベリリウムは、伝搬速度ははやいですが固有音の影響がおおきいという問題があります。またツイーターとウーハーで振動板の素材がことなると、伝搬速度や固有音がことなり音質に統一性がなくなるという問題があります。

そこで新素材「NCV-R」の登場です。これは、カーボンナノチューブと数種類の樹脂を最適に配合した振動板素材であり、樹脂素材でありながら金属であるチタンをしのぐ 6,300 m/s の伝搬速度と、紙と同等の適度な内部損失により固有音を抑制するという性質をあわせもっています。DS-4NB70 では、ツイーターとウーハーの双方にこの NCV-R を採用したことにより、ツイーターとウーハーの等高速化、ハイスピード・ハイレスポンス、ととのった音質・音色を全再生周波数帯域で実現しました。振動板素材を自前で製造できる DIATONE だからこそできたことです。

試聴では、ロンドンのスタジオで録音された音源(管弦楽)をききました。非常に小さな低音までしっかりきこえます。
「これは、ロンドンの地下鉄の音です。40 Hz 程度の低音です」
エンジニアが説明してくれました。このような実験を何回かおこないました。

こんな音まで実際には録音されていたのか(ひろっていたのか)。普通のスピーカーでは、ここまでこまかくよわい小音量の低音までは再現できません。DS-4NB70 の性能の高さをものがたっています。音源のすみずみまで、あますことなくあらゆる音を再生できます。最近のすぐれたハイレゾ音源ではとくに威力を発揮するスピーカーでしょう。

DIATONE のサイト




■ TANNOY LEGACY SERIES "EATON"

つぎに TEAC のブースにいってみたら TANNOY LEGACY SERIES "EATON" をならしていました。

1976 年の TANNOY HPD シリーズのクラシカルなうつくしいデザインはそのままに、最新の音響テクノロジーをそそいで誕生したのが LEGACY シリーズです。今回は、このシリーズの最小モデル EATON をききました。


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いやはやおどろきました。この雰囲気のよさ。ここは大人の空間です。やわらかくあたたかく、心あたたまる昔なつかしい音色です。こんなスピーカーが今でもあったのか。さっきの DIATON とは対極に位置するスピーカーです。

CD をならしていましたが、まるでアナログレコードをきいているようでした。ここでは音をきくのではなく、音楽をたのしみます。

高解像度化がすすむ今日のオーディオ機器のなかにあって真逆をむいているかのようです。解像度をたかめればよいという常識をみなおすチャンスをあたえてくれます。一度たちどまって、オーディオについてかんがえなおすよい機会になりました。

TANNOY といえば同軸、独自のデュアルコンセントリックドライバー(同軸2ウェイドライバー)を採用し、トップクラスの位相特性とポイントソース(点音源)による音楽表現は、みごとな音像定位とゆたかな音場感をうみだします。

周波数特性(±6dB):40Hz~30kHz
デュアルコンセントリックドライバー
 LF(ウーハー):254mm(10インチ) マルチファイバーペーパーコーン、ツインロールハードエッジ、52mm(2インチ) エッジ巻きボイスコイル
 HF(ツイーター):35mm(1 1/3インチ) アルミマグネシウム合金ドーム、エッジ巻きボイスコイル クロスオーバーネットワーク
 クロスオーバータイプ :バイワイヤー対応低損失パッシブハードワイヤータイプ、2次オーダー(HF/LF)、クロスオーバー周波数 1.2kHz
キャビネット エンクロージャータイプ:バスレフ(フロント・ツイン)
容積:30ℓ
本体寸法(W×H×D):サランネット含む 376mm×538mm×250mm
質量/台:20kg


この上品なスピーカーは、 雰囲気重視の典型的なスピーカーです。かぎりなく安心してきけるいやし系スピーカーです。ゆったりと音楽にひたりたいという方におすすめします。

地下鉄での通勤や満員電車でつかれている人は、自宅にかえってきてからも「地下鉄の音」をきく必要はありません。よけいな音はきこえない方がよいです。

たとえば人間でも、非常にたかい能力があって、はっきりくっきり、スピーディーで完璧な人がいます。組織には必要です。

しかし、昼間の仕事ではそれでよいかもしれませんが、つかれて自宅にかえってきてからも、「はっきりくっきり・・・」という人とつきあっていたらストレスは解消せず、ますますストレスがたまってきて、ながくはつきあえないなんてことがおこります。

わたしは DIATON を否定しているわけではありません。DIATON の役割もみとめています。DIATON も必要です。しかし一方で、TANNOY には別の役割があります。どちらも必要です。

オーディオに何をもとめるのか? それは、人によってちがうのであり、あなたがそれを決めればよいのです。メーカーや評論家やショップが決めることではありません。メーカーや評論家やショップの評価は参考程度にとどめればよいでしょう。

TANNOY LEGACY SERIES "EATON" のサイト




■ FOCAL Kanta Nº 2

つぎに音のサロン「先進的配信オーディオを語る」(講師:角田郁雄氏)をききにいきました。使用機材はつぎのとおりでした。

CD/SACD/BD プレーヤー
  1. Cocktail Audio X45Pro
  2. YAMAHA RX-A880
  3. Marantz SA-10
USB DAC/ネットワークプレーヤー TEAC NT-505
  1. SPEC RMP-X1
  2. DELA HA-N1AH20/2
アンプ:LUXMAN L-509X
スピーカー:FOCAL Kanta Nº 2


FOCAL の販売代理店は昨年、ロッキーインターナショナルからラックスマンにかわりました。

DIATON と TANNOY という両極端の音をきいたあとに FOCAL Kanta Nº 2 をきいてみると、FOCAL は両者の中間に位置づけられることがわかります。 

高解像でありながら雰囲気も響きもいいです。あらゆる音源に対応できる万人むけのスピーカーであり、おおくのリスナーに愛されるスピーカーだとおもいます。

高解像でありながら雰囲気も響きもいいスピーカーは、うっかりするとバランスをくずしてしまう危険をはらんでいます。たとえば高解像ではあるが響きが変とか、雰囲気はいいが低音がですぎているとか。FOCAL Kanta Nº 2 はそのようなことはなくバランスもいいです。

ただし雰囲気や響きがいいということは音の色づけを若干おっこなっているということであり、原音忠実ではありません。FOCAL サウンドになっています。いくらか色づけされたスピーカーはほかにもたくさんあり、それぞれに独特の音色・個性をもっています。それぞれを比較試聴してみるとわかってきます。

FOCAL Kanta Nº 2 のサイト