高速レスポンス。原音楽再生。完成度のたかい原音忠実型の高性能なスピーカーでした。

三菱 DIATONE 70 周年記念 ブックシェルフスピーカー DS-4NB70 の試聴体験会に参加しました(2018.10.14, ビックロ新宿東口店)。ビックカメラ限定仕様 DS-4NB70G(ゴールド) の取扱開始を記念して開催されたイベントです。講師はオーディオ評論家の麻倉怜士さんでした。DIATONE といえば、かつて著名な高級スピーカーでしたが最近はどうなったのか気になっていました。


DS-4NB70


ひとことでいうと、完成度のたかい原音忠実型の非常に高性能なスピーカーでした。「高速レスポンス」と「原音楽再生」をうたっているだけのことがあります。

全再生周波数帯域でハイスピードとハイレスポンスを実現、ウーハーレスポンスをとくに高速化し、ツイーターとの等音速再生を実現しました。S/N、音の鮮度もたかく、全帯域で音色もととのっています。エンクロージャーの塗装も、カーボン含有ポリエステル樹脂によるピアノブラックフィニッシュを採用、ピアノ塗装の熟練職人による贅沢な6層のハンドメイドというこりようです。塗装によっても音はかわります。ブックシェルフ型であるため音像定位も申し分ありません。

DIATONE の音のキレのよさを知ってしまうと、通常のトールボーイ型スピーカーでは低音のおくれが気になってしょうがないということになります。

この原音忠実なスピーカーと対極にあるのがたとえば TANNOY PRESTIGE です。スピーカーは比較してみるとそれぞれの個性がよくわかります。

DIATONE DS-4NB70 は、おそらく、ピアノや打楽器、ロックあるいは吹奏楽などの音楽などにむいているでしょう。あるいは短時間で集中して演奏をきくためによいかもしれません。

これに対して、TANNOY などの雰囲気重視のスピーカーでは、アコースティックな楽器、クラシック音楽などにむいているでしょう。あるいはゆったりと長時間 音楽をたのしむためによいです。DIATONE では、ヴァイオリンの音などが硬質できつく感じられてしまいます。

たとえば人間でも、きわめて能力がたかく、ハイスピードでつぎつぎに仕事をこなす完璧主義がいますが、なんだかつめたい感じがしてつきあいにくいことがあります。それに対して、かならずしも仕事ははやくなく、ややぼけたところがあっても質の高い仕事をする雰囲気のいい人がいます。あたたかみがあってながくつきあえます。美人でいえば、クールビューティーとソフトビューティー、絵画でいえば、写実絵画と印象派絵画のちがいみたいな感じかもしれません。

しかしどちらがすぐれているということではなく、それぞれのスピーカーにはそれぞれによさがあり、ケースバイケースでどちらも必要です。

わたしとしては DIATONE を買うことはないでしょうが、DIATONE をきくことによって、タンノイなどの雰囲気重視のスピーカーの個性がいっそうよく理解できるようになりました。スピーカーの性能や個性は比較したあとにわかります。DIATONE は、誰もが一度は視聴しなければならないスピーカーといってよいでしょう。

なお国産スピーカーは、コストパフォーマンスが一般的によいです。オーディオ機器にかぎりませんが、輸入品は、輸送量や手数料その他のコストが価格にふくまれていて高額になっています。価格と性能は比例しませんので注意してください。