クリプトンのスピーカーは原音忠実、フォステクスのそれは雰囲気重視です。

ビックロで開催された「総額 50 万円で組む黄金のシステム」試聴会(イベント)にいってきました。講師はオーディオ評論家の麻倉怜士さんでした。

当日はまず、プリメインアンプとして デノン PMA-2500NE とその内蔵 DAC をつかって、スピーカー5モデルを順次ききくらべました。音源は、PC(VAIO)に保存されたハイレゾ(女性ヴォーカルと交響曲)でした。わたしのとくに印象にのこったのは、クリプトン KX-1 とフォステクス G1001MG でした。



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クリプトン KX-1 は、原音忠実、寒色系(モニター調)のスピーカーです。透明感と解像度がとてもたかく、こまかい音までくっきりきこえます。中音域がへこむことはなくチューニングは完璧で、完成度のたかいスピーカーです。きびきびした高音質を一聴して、クリプトン・ファンになってしまう人もいるのではないでしょうか。きいていてとても気持ちがいいです。音楽に正面からむきあいたいという人にとくにおすすめします。

それに対して、フォステクス G1001MG は、雰囲気重視、暖色系スピーカーです。音楽性(芸術性)やいやしをもとめるならこのスピーカーが一番です。低音がよくでて、なんといってもバランスがいい。懐のふかいゆたかな音場に身をゆだねることができます。たとえばコンサートホールの中央よりもやや後ろの方で、音楽そのものをあるいは音楽の響きをゆったりとたのしみたいといった人にとくにおすすめします。

クリプトン KX-1 とフォステクス G1001MG とではもとめているものがちがいます。密閉型のクリプトン KX-1 はかたくひきしまった低音をだしますが、バスレフ型のフォステクス G1001MG は大きな音場をつくります。低音がたりないとか、低音がふくらみすぎるといった欠点ではありません。音楽にむきあい、やや分析的に演奏をきくならクリプトン、音場に身をゆだね、音楽の表現をたのしむならフォステクスということでしょう。

どちらがすぐれているかということではなくて、スピーカーに何をもとめるのかが重要です。ききくらべてみると両者のちがいは "一聴" 瞭然ですので、オーディオショップで機会があればききくらべてみてください。




クリプトンとフォステクスのちがいは、日本料理と中国料理のちがいにたとえてみるとわかりやすいかもしれません。日本料理では、素材そのものがもつうまみを生かすようにし、旬のものをサッと食べたりしますが、中国料理では、調味料や香辛料をつかってしっかり味つけをします。

これらは、海産物などの新鮮な食材が手にはいりやすい地域と、新鮮な食材が手にはいりにくい地域との食文化のちがいといってもよいでしょう。新鮮な食材が手にはいるのならよけいな味つけなどはせず、もともとおいしいものをそのまま食べたほうがよいでしょう。しかしいい食材がいつも手にはいらないところでは、あまりよくない食材であっても味つけをしておいしく食べるようにします。まずいものでもおいしくしてしまうという料理の工夫がここにはあります。

このようなことからいうと、クリプトンは日本料理に、フォステクスは中国料理にたとえられます。

最近、ハイレゾがでてきたりして音源の高音質化がすすんでいます。よい音源をそのままに再生するならクリプトンがいいです。しかしそうはいっても、ふるい音源はどうするのか、あまりよくない録音はどうすればよいのか。そこでフォステクスの登場です。クリプトンだと音源の良し悪しをそのまま再生してしまいますが、フォステクスなら、どんな音源をもってきても、いい音源はもちろんいい音質で、あまりよくない音源でも十分に音楽がたのしめます。スピーカーを選択するときにはこのようなことも考慮するとよいでしょう。




クリプトンのスピーカーは、輸入スピーカーですとイギリスのモニタースピーカー、PMC (Professional monitor company) のスピーカーに匹敵します。PMC スピーカーは輸入品ということもあり高額になっていますが、クリプトンは国産ということもあってコストパフォーマンスに非常にすぐれ、たいへんお買い得です。PMC と同程度の高性能スピーカーが割安で買えるという利点があります。

フォステクスに匹敵する輸入スピーカーとしては、TANNOY や Wharfedale や Vienna acoustics などがあります。ショップで試聴してみるとおもしろいとおもいます。




当日は、スピーカーの比較試聴にひきつづき、単体 DAC(D/Aコンバーター)の試聴をしました。デノン DA-310 USB、マランツ HD-DAC1、オッポ・デジタル Sonica DAC を順次ききました。

解像度の高さではオッポ・デジタル Sonica DAC が一番でした。音はこまかく、透明感のある音場がひろがります。それに対してマランツ HD-DAC1 は、音のまとまり、バランスはまさっていました。分析的に演奏をきくためには オッポ・デジタル Sonica DAC、音楽性を重視するなら マランツ HD-DAC1 という選択になるでしょう。




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イベント当日の最終的な組みあわせはつぎのようになりました。

  • DAC(D/Aコンバーター):オッポ・デジタル Sonica DAC
  • プリメインアンプ:デノン PMA-1600NE
  • スピーカーシステム:フォステクス G1001MG


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DAC とスピーカーの組みあわせは、高解像で分析的なオッポ・デジタルと、雰囲気・音楽性重視のフォステクスになり、全体としてバランスがとれたとおもいます。

全体的なバランスということでは、当日は試聴できませんでしたが、DAC としてマランツスピーカーとしてクリプトンという組みあわせもありだとおもいます。

なお上記のプリメインアンプ デノン PMA-1600NE は DAC を内蔵しているので、まずは、内蔵 DAC をつかってみて、予算ができたら単体 DAC を買うというのもひとつの方法です。そのほうが単体 DAC の効果がよくわかるとおもいます。