どちらかというと原音忠実の TAD、雰囲気重視の Focal でした。

OTOTEN 2017 で、TAD と Focal のスピーカーを比較試聴しました。

試聴したスピーカーはつぎのとおりです。

  • TAD ME1(ブックシェルフ型)
  • TAD R1 Mark2(トールボーイ型)
  • Focal Sopra No.1(ブックシェルフ型)
  • Focal Sopra No.2(トールボーイ型)

プレーヤーはつぎのとおりです。
  • Airbow SA10 Ultimate

プリメインアンプはつぎのとおりです。
  • Airbow PM10 Ultimate


TAD ME1 は原音忠実・高解像・高音質、よくひきしまった音質ですが、硬質な音ではなく、なめらかな音質です。透明感があり、スピーカーの存在を感じさせません。音楽のジャンルをえらばない万能スピーカーです。原音忠実のスピーカーですが、業務用モニタースピーカーではなく、あくまでも家庭用につくられているため、響きと色づけがすこしくわわっているようで、無味乾燥な音ではありません。音楽そのものを追究したい、やや分析的に演奏をきいていみたい、楽器についてもくわしく知りたいといった人には最適なスピーカーでしょう。

これに対して Focal Sopra No.1 は雰囲気重視のスピーカーです。高解像・高音質ですが、うるおいがある音質であり、あかるくつややかでハキハキした音楽をかなでます。響きはゆたかでふかいです。スピーカーのキャビネット(筐体)の内部に響きがありますし、キャビネット(筐体)自体も響いています(箱鳴りしています)。直接音と響きが融合してライブをきいているような雰囲気をかもしだし、音楽そのものをたのしめます。Focal サウンドといってもいいかもしれません。とくにフランス音楽には最適です。

TAD ME1 も Focal Sopra No.1 もブックシェルフ型スピーカーであるため、音像定位と音場のひろがり(空間表現)はどちらもすばらしいです。これは、トールボーイ型スピーカーではえられないことです。とくに音像定位は、左右はもちろん、前後、上下もすばらしい。スピーカーのむこうの奥からもきこえてきます。ボーカルはセンター前に、ドラムとベース左右奥から。定位がいいからボーカルがつぶれません。また遠くからきこえてくる小さな音と近くできこえる小さな音とを表現しわけます。あるいは小さな音場と大きな音場を表現しわけます。みごとに空間を表現します。これが、悪いスピーカーだと、小さな音と大きな音しかでてきません。

そしてブックシェルフ型ですが低音も十分でます。ここまで低音がでるのなら、15畳以下の普通のリスニングルームではトールボーイ型は必要ないとおもいます。近年のブックシェルフ型スピーカーの技術革新はめざましく、またアンプの性能もあがったので、最大の弱点であった低音不足が克服されました。

ただしつけくわえるなら、デザインに関しては Focal の方がいいです。これはオーディオ的なことではないですが、Focal は、いかにもフランス的な上質なデザインであり、おいておくだけであなたの部屋を一ランク上にひきあげます。友人をよんでパーティーをひらいたり、ダンスをたのしんだり・・・。総合的・文化的に音楽をたのしみたいという人には Focal Sopra No.1 が最適でしょう。




トールボーイ型の  TAD R1 Mark2Focal Sopra No.2 もききました。

低音の量感は2倍〜3倍になります。しかしわたしには低音がですぎている、ふくらみすぎていると感じました。特別に低音を重視しないかぎり、15畳以下のリスニングルームではブックシェルフ型で十分だとおもいます。

音像定位は、点音源あるいは点音源にちかいブックシェルフ型よりもおとりますが、これは仕方ありません。

トールボーイ型はキャビネットが大きくなった分、内部での響きと箱鳴りがでてきます。TAD は基本的には、響きをおさえた原音忠実ですが、それでもある程度ひびいていることがわかります。Focal は、TAD よりもかなりよく響いているのでライブをきいているような音質になります。

15畳をこえる大きなリスニングルームで、比較的おおきな音量できくにはトールボーイ型がいいでしょう。あるいは響きをたのしみたい、ゆったりと余裕をもって音楽たのしみたい場合にもいいかもしれません。




当日は、つぎのような解説(たとえ話)がありました。

サーキットをはしっていたときは乗り心地がよかったけれど、一般道にでたとたんにガタガタになって乗り心地がわるくなるような、レースに特化したレーシングカーよりも、一般道でもそこそこ乗り心地のよい車のほうが一般のユーザーにはむいています。

録音には良し悪しがあります。よい録音を再生したときはよかったけれど、わるい録音(ふるい録音)を再生したら、粗が目立ってしまったということは、高解像・高音質のスピーカーではよくあることです。

ハイレゾだからといってすべてが音がいいわけではありません。普通の録音をアップサンプリングしただけのインチキ・ハイレゾもあります。あるいはとくにライブや一発録音の場合、演奏ミスとまではいわないまでも、うまく演奏できなかった部分がところどころにあることがあります。

高解像・高音質すぎる機器で再生すると、そのようなわるい部分もそのまま再生してしまい、音楽をたのしめないということになります。録音状態のチェックになってしまいます。一般のリスナーは現場の録音技術者とはちがいます。

たとえばディスプレーでも高画質化(高画素化)がすすんでくると、「えっ、この人、こんなにホクロが多かったの」とか、「この人、シワがふえたなぁ」といったことがおこります。よけいなものが見えすぎてがっかりしたり、リアルすぎて番組や映画がたのしめないといったこともおこりえます。これと似ているのです。

この点をかんがえると、TAD スピーカーでは、やや分析的に音楽を追究するにはよいでしょうが、録音の良し悪しがわかってしまうということがおこるかもしれません。一方の Focal はどのような録音であっても Focal サウンドをかなで、ライブをきいているように音楽をたのしめるでしょう。ただし TAD を選択して、リスニングルームの音調をおこなって響きをくわえるという別のたのしみかたはあります。

スピーカーを選択するときには考慮すべきことです。あなたは何をもとめるのか? 高解像だから何でもよいというわけではありません。あるいは目的に応じて複数のスピーカーをつかいわけるのもよいでしょう。