非常に高音質であり、音像定位と音場のひろがりにもすぐれ、低音も十分にでるスピーカー TAD ME1 は新世代のおすすめスピーカーです。

テレオン「国産スピーカー試聴会」に参加しました。

比較試聴したスピーカーつぎのとおりでした。
  • TAD ME1
  • TAD CE1
  • FOSTEX G2000a
  • YAMAHA NS-5000

使用機器はつぎのとおりでした。
  • プレーヤー TAD D1000MK2
  • プリアンプ TAD C2000
  • パワーアンプ TAD M2500MK2


■ TAD ME1
音像定位がすばらしく、スピーカーの外側にまでみごとな音場がひろがります。歌手の口の位置がわかり、そこから周囲に音が大きくひろがります。同軸スピーカーはやはりすごいです。スピーカーの存在を意識させません。ピーカーが "消える"。音楽だけが空間にひびいています。

かつては、低音がよくでるスピーカーといえば大型の高級スピーカーでした。一方、小型スピーカーは庶民が買う低価格なスピーカーでした。そんななかで、低音もよくでて、比較的せまい部屋でも設置場所をとらず、価格もリーズナブルな、ハイ・コストパフォーマンスのトールボーイ型のスピーカーが登場、スピーカーの主流になりました。

しかし最近、低音もよくでる小型スピーカーがあらわれてきました。TAD ME1 もそのひとつです。大型スピーカーにくらべて小型スピーカーは筐体の響きがすくないので、音がにごらずクリアー、音像定位や音場のひろがりといった点でも、フロアー型スピーカーよりももともとすぐれていました。そして最大の弱点だった低音がでないことが克服されました。

これからは、小型スピーカーが主流になるのではないでしょうか。

TAD のスピーカーはカタログなどによると、音の色づけ(カラーリング)はおこなっていないということになっていますが、解説を当日してくれた TAD 技術者によると、「上位機種とちがい、TAD ME1 だけはわずかに色づけをおこなっています」とのことでした。上位機種をただ小さくしたものをつくっても意味がない、おもしろくないので、TAD ME1 は独自の世界をあらためて追求しました。音が、筐体にいくらか響いていて、その響きが雰囲気づくりになっている。これがいいんです。音につやがでて質感がたかまりました。とくにクラシックの弦楽器の音には非常にいい効果がでています。

一般家庭できくなら ME1 がおすすめです。十畳ぐらいまでの大きさの部屋なら ME1 が最適です。家庭では一般的に、長時間きいたり、BGM をながすことが多いとおもいます。録音状態をチェックするのが目的ではありませんから、高度にモニター調で硬質な音質のスピーカーは適切ではありません。


■ TAD CE1
TAD ME1 よりも筐体が大きくなった分、低音が大きくでます。しかし音像定位や透明感では ME1 の方がまさります。

TAD スピーカーの上位機種とおなじ設計思想でつくられていますが、上位機種よりも筐体が小さくなった分、上位機種にくらべて響きがすくなくなり、その結果、モニター調がややつよくなり、やや硬質な音質になっています。


■ FOSTEX G2000a
トールボーイ型の典型的な大型スピーカーであり、パワフルに音をおしだしてきます。重低音がバンバンきます。音圧を肌で感じます。一方、音像定位や音場のひろがりは二の次になっています。
 
強力な重低音は中音域をつぶしてしまいます。内声がきこえなくなります。旋律と重低音しか聞かない人にとってはこれでいいとおもいますが、ごつい低音は虚像であり非音楽的です。品がありません。リスナーの耳がこえてくれば、ですぎた重低音は不自然であることがわかってきます。より自然に音楽を表現したり、音質ともに音場をたのしむためにはむきません。

しかし重低音にこだわりをもっている人、音圧を感じてたのしみたい人、ベースのピチカートが大好きな人、大音量でききたい人などはこのスピーカーを選択するとよいでしょう。とくに若い人にはいいかもしれません。 


■ YAMAHA NS-5000
大型のブックシェルフ型といった感じの中型スピーカーであり、今回試聴したスピーカーでは、TAD ME1 と FOSTEX G2000a の中間的な位置づけになります。音像定位のよさと、迫力のある重低音の両方をねらった、いいとこどりのスピーカーです。

しかし音像定位のよさと音場のひろがりでは TAD ME1 がまさり、迫力のある重低音、音圧では FOSTEX G2000a  の方がまさります。

音質はクリアーでやや硬質です。 


■ Dクラスアンプ:TAD M2500MK2
近年、Dクラスアンプ(デジタルアンプ)の進歩がめざましいです。Dクラスアンプは筐体を小さくでき、また発熱がほとんどないなどのメリットもあります。

TAD 技術者からつぎのような興味ぶかい話がありました。「技術者が、デジタルの音質をあげるために苦労していて、一部の人はアナログに回帰しようとしていますが、実は、Dクラスアンプは電源の影響が非常に大きいので、デジタルをいじるよりも電源を強化した方がよいのです」。

オーディオ機器では電源が重要です。

そもそもデジタル技術とは、そのまま音源を再現する技術であって、音源よりも音をわるくしないで伝送する技術です。音質をよくしようとおもったらアナログ回路を改善することが重要です。


■ 総合感想
おすすめすスピーカーはずばり TAD ME1 です。

今回、国産スピーカー4機種を比較試聴してみて、あらためて、近年の小型スピーカーの進歩、すばらしさを再認識しました。小型スピーカーの最大の弱点は低音にありましたが、小型スピーカーでも低音が十分にでるようになりました。

一般的な日本の家庭のせまい部屋に大型スピーカーをならべて所有欲をみたすという時代はおわりました。せまい部屋に大型スピーカーをいれると空間表現も音場のひろがりもあったものではありません。

音楽を表現するためには高音質と音場の両方が必要であり、こららはお互いに補完・補強して音楽の世界をつくりだします。オーディオ機器には、物理的な音をもとめるのではなく、音楽の表現力をもとめた方がよいでしょう。